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［女子シングルス決勝］
○加治遥（島津製作所）　6-3,6-2　●西郷里奈（東急スポーツシステム）

■決勝に向けて「自分のやるべきことにフォーカスしたい」と話したのは加治。西郷も「自分の強みを出していきたい」と似たような言葉で意気込みを示した。加治の「やるべきこと」とは、強化したフォアハンドと走り負けないフィジカルを噛み合わせること。フィジカルは「じっくりラリーしながら戦える自信」を生み、今季の好調につながっているという。一方、西郷の強みは「積極的なプレー」だ。武器のフォアハンドを軸に「しっかり打ち抜く」ことで、準決勝では難敵伊藤あおい（ＳＢＣメディカルグループ）の変幻自在のテニスを攻略した。

■両者がそのストロングポイントを出し合う決勝になった。加治は「優勢になっても、すごくいいプレーで押し返された」と話した。西郷は「追い込めそうで追い込みきれない展開も続いて、厳しい試合だった」。両者の見解が一致、１ポイントの中で優劣が激しく入れ替わる熱戦であったことが分かる。

■６－３、６－２のスコア以上の接戦だった。総獲得ポイントでは77対65と、数字の開きは小さくなる。デュースにもつれたゲームだけ見ると、加治が取ったゲームは６、西郷は２ゲームで、スコアと似たような比率だ。競ったゲームが続き、その多くをものにした加治が勝利を収めた形だ。「チャンスがあった中で、ゲームが取り切れず負けてしまったのが悔しい」と西郷。ラリーで劣勢に陥っても、ポイントが拮抗しても、「やるべきこと」を貫いた加治が念願の初栄冠を手にした。

■この９月に自己最高の世界ランク213位をマークした。ＩＴＦ大会に出場し、ＷＴＡランクを上げて24年全豪の予選出場を確実にする選択肢もあったが、「（タイトルを）取ったらステップアップになる」と全日本選手権出場を決めた。今年は「少しずつ積み上げてきたものが結果として出て、いろんなトライができた年」だという。全米で四大大会の予選初出場を果たし、杭州アジア大会では銅メダル。そこに全日本のタイトルを加えた。世界ランクにかかわらない大会だが、来年以降の飛躍につながる優勝となったのは間違いない。

（日本テニス協会広報部）

本記事は、日本テニス協会メールマガジン「Tennis Fan」の抜粋です。「Tennis Fan」の購読ご登録はこちらから！
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