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富士山プロジェクト

強化育成本部 中長期強化育成プラン2022-2032「富士山プロジェクト」について

近年大きな目標であった2020東京オリンピックを終え、これまでの活動を振り返ると、最大目標であったメダルの獲得には至らなかったものの、2020東京大会は、過去最多の日本人選手がオリンピックの出場権を獲得した大会であり、また全種目に出場し、全ての種目においてメダル獲得の期待があったことはもちろん、その他の点においてもこの大会に向けた取り組みの成果は大きいと評価しています。それは、2017年度から2021年度の期間は、大坂なおみ選手による4度のグランドスラム大会の制覇(2021・2019全豪,2020・2018全米)と日本人初のシングルス世界ランキング1位を始め、男子シングルの世界ランキングにおいて、錦織選手を除いた4名もの選手(杉田祐一選手、西岡良仁選手、ダニエル太郎選手、内山靖崇選手)が100位以内に入り、さらにツアー大会で優勝するといった成績を収めています(杉田祐一選手、西岡良仁選手、ダニエル太郎選手)。ダブルスにおいても、男子ではグランドスラムで上位進出できるプレーヤー(マクラクラン勉選手)、女子では世界ランキング4位のプレーヤー(青山修子選手、柴原瑛菜選手)が輩出されました。2013年から中長期的に見ると、日本人選手の競技成績の向上にはさらに目を見張るものがあり、日本の競技テニスにおいても最も著しい競技力向上が見られた期間であったと評価できるかと思います。大坂選手、錦織選手からは、世界のトップに立つことの意味やその要因など、これまでの日本のテニス界になかった多くの事柄を学ぶことができました。

このような約10年間を経て、今後日本の競技テニスが目指すべきところは、テニス先進国への変貌であると考えています。今後、若手プレーヤーに注力し、100位以内に入る新たなプレーヤーを早急に輩出することが大きな課題であると考えています。

1.強化育成本部が目指すもの

これまでの強化育成本部の取り組みの流れと、現在日本テニス協会が推し進めている「中長期戦略プラン」における強化育成本部の使命、そして、ハイパフォーマンススポーツを取り巻く社会環境やスポーツ環境を概観し、次の2つのビジョンを設けました。

2032年には、プロ野球やサッカーのように、多くの子どもたちが毎日のテニスプレーヤーの試合結果に一喜一憂しているような光景が見られるよう、強化育成に関わる全国の指導者と想いを共有しながら、強化育成事業を進めていきたいと考えています。

1)ビジョン2028:多くの子どもたちが、多くの日本人プレーヤーを知っている
国内開催の国際トーナメントでは、日本人プレーヤーの試合は満席

2)ビジョン2032:新しいスタープレーヤーがいる
子どもたちが多くの日本人プレーヤーの試合結果に一喜一憂している

上述のビジョンを達成するために、(1)恒久的にTop100にランクできるようプレーヤーを育成・強化すること、(2)応援されるプレーヤーを育成すること、(3)Top100からTop50へつながる(接続できる)環境を構築すること、そして、(4)上記(1)から(3)につながるプレーヤーの増加するための環境を構築することを目標としています。これらの目標達成には、前項で課題とされた「若手プレーヤーへの注力」が重要と考えています。

2.プランの全体像
プランの全体像は、図1、2の通りです。大きく3つの重点戦略があります。

1つ目は、『ネクストジェンの強化とTop100パスウェイの確立』です。これは、現在すでに対象プレーヤーが選出され強化育成活動が進められていますが、次世代の若手プレーヤーらをネクストジェンチーム(強化メンバー・育成メンバー)とし、これまで世界ランキング100位以内にランクした日本人プレーヤーらの競技力向上の過程を詳細に分析、検証した「Top100達成の経験知」をベースに、Top100へのランクインを目指すものです。また、チームへの強化活動を随時振り返りながら、Top100を目指すための強化育成パスウェイを構築します。

2つ目は、『応援されるプレーヤーの育成』です。これは、強化育成本部の理念である「子どもたちが憧れる日本代表」を目指し、日本代表プレーヤーとしての「誇り」、「敬意」、「志」に溢れたプレーヤー、つまり「応援されるプレーヤー」を育成することです。また、近年ハイパフォーマンスレベルのスポーツ選手の「メンタルヘルス」の問題やSNSの問題など、プレーヤー活動を困難にする諸問題が多く存在します。これらの諸問題に対して、対応的なサポートだけでなく、プレーヤー自身が、上手く付き合える素養を養い、幸福感あふれるテニスキャリアを実現できるとともに、競技力向上につながる多くの情報を活用できる人材への教育として、「チャンピオン教育」に取り組みます。

3つ目は、『Top50パスウェイ(接続システム)の確立』です。これは2028年頃のこのプランの後半を目処にしていますが、Top100にランクしたプレーヤーが、「ネクストジェンチーム」を離れ、プレーヤー独自で競技力向上を図る際、プレーヤー自身が次のステップであるTop50、Top20を明確にイメージできるようTop100に入るまでの間にTop50を見据えた事前教育と強化サポートを実施することです。

これらは、主にネクストジェンチームを対象としての特別プランとして実施されますが、強化育成本部では、ナショナルメンバーやナショナルジュニアのプレーヤーへのサポートは、予算状況に応じながらこれまでと同様な形で実施していきたいと考えています。


図1 中長期強化育成プラン2022の位置付け


図2 中長期強化育成プラン2022の全体像

3.実施に向けた対応と「富士山プロジェクト」

このプランでは、これまでの「Top100達成の経験知」を抽出し、それを元にした活動を実施します。現在、コーチやスタッフ間でこれまでの活動の分析や検証をはじめています。また、強化育成活動に関わるコーチやスタッフ数をこれまでよりも拡大したことで、情報を共有する機会が増え、新たな様々な気づきが見られます。こういった情報をつぶさに集約していくことも、このネクストジェンの強化育成活動の中では重要な活動となります。強化育成本部では、さらに洗練された知見を「Top100パスウェイ」として構築し、様々なプロジェクトや事業と連携し「Top100パスウェイ」の普及を進め、多くのプレーヤーや指導者がTop100にランクインするためのパスウェイを明確にイメージできるよう取り組みを実施していきたいと思います。また、多くのプレーヤーのTop100へのチャンスを拡げるためにも、「テニピン」、「Play & Stay」によるテニス脳やコーディネーションの開発などの低年齢からの能力開発・タレント発掘も「Top100パスウェイ」として取り組むことを計画しています。

「富士山プロジェクト」とは、この「Top100パスウェイ」をさまざまなカテゴリへ普及することであり、「Top100パスウェイ」に触れるプレーヤーを拡大していくためのプロジェクトです。富士山は、日本人の誰からも愛される、また、誰もが憧れ登頂を目指すシンボル的なものです。その頂きへは様々なルートが存在します。頂きへの道のりは一つではありません。「Top100パスウェイ」がテニスのトップを目指すための「道標」として、裾野のプレーヤーやコーチに届き、それをそれぞれが工夫することにより、これまでよりも多くのプレーヤーが、様々なルートからトップを狙える環境を構築していければと考えています。

富士山のように雄大に、『日本テニス』の存在感を国内外に示していきたいと考えています。今後も皆さまの変わらぬご協力をよろしくお願いします。

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