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［女子シングルス準決勝］
○齋藤咲良（富士薬品）　7-5,4-6,6-3　●今村咲（ＥＭシステムズ）

■「どのセットも苦しくて心が折れそうな場面がいっぱいあった。自分を信じて勝ち切れた」。辛勝の齋藤がコート上でのインタビューに応えた第一声だ。３セットとも先行を許した。第１セットは２－５と追い込まれたが、５ゲーム連取で逆転した。前日の午後５時過ぎから行われた準々決勝で３時間弱の大接戦を演じ、心身の疲労が抜けきる前に迎えた準決勝だ。「動きが少し、一歩目が遅くなったりしていた」と齋藤。体の切れは悪く、反応は遅れ気味だった。序盤、ラケットの振りは鋭さを欠き、棒球になってラインを割る場面が目立った。今村の切れ味のあるフォアハンド逆クロスにも苦しめられた。それでも、一つ一つゲームを重ね、挽回した。

■第１セットの逆転について齋藤は「もう１回、重心を低く落とせたのが良かったのかなと思う」。体は疲れていたが、その中で、ボールの質を落とさないように体の使い方を工夫した。そして、前日の準々決勝同様、劣勢でも「自分を信じて」、ボールを追った。「体」と「心」に加え、「技」の工夫もあった。

■「今村さんは低い軌道で、丁寧にかつパワフに打ってくる。ラリーで自分が何か一つ加えないと崩せないと思ったので、アングルとかドロップとかで揺さぶったり、ファーストサーブにセカンド（用の）サーブをまぜたり、少しでも相手のリズムを崩せるように努力した」。まだ18歳だが、四大大会ジュニアやＩＴＦツアー（下部ツアー）で厳しい試合をくぐりぬけた経験が、勝つための「引き出し」を増やしたのだろう。

■ただでさえ重圧のかかる全日本選手権に、初出場ながら第１シードで臨み、「思った以上にきついです」と本音がもれた。苦しみながらも、目標の優勝まであと一つだ。「下半身が今もとても疲れている」と体力は100％を大きく割り込んでいるが、「いい疲れ具合のほうが、いいプレーが出せるのかなって思う」と弱音は吐かない。「若いから多分、動けるんじゃないかな」。苦戦した準々決勝、準決勝と同じように、「目の前のポイントに集中して」戦い抜く。


（日本テニス協会広報部）

本記事は、日本テニス協会メールマガジン「Tennis Fan」の抜粋です。「Tennis Fan」の購読ご登録はこちらから！
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