[シングルス第3試合]
○綿貫陽介 6-1,6-3 ●ダルコ・ボヤノビッチ
■第2日までに日本が勝利を決め、最終日のシングルスは“消化試合”になった。岩渕聡監督が起用したのは初代表の綿貫。「これからチームに入ってくる選手」と20歳の新鋭に経験を積ませることが目的だった。ただ、岩渕監督は「彼も今後につながる試合にしなくてはいけないし、チームにとっても大事な選手なので、チーム一丸で勝ちにいく。大事な試合になる」と位置付けた。
■雰囲気を味わわせるだけでなく、綿貫を「試す」目的も含めての起用だった。岩渕監督は試合後、「意図的にプレッシャーをかけて送り出した」と明かした。「デビスカップの重みも感じてほしかったし、デ杯デビューは一生に一度、緊張の中で戦う経験は大きい」。監督の意図は綿貫にも伝わっていた。「次のデ杯で(出場の)チャンスが来て、2-2で自分が出る状況もあると思う。その時に、今日、プレッシャーがかかった状態で試合をしておけば、大きく違う」。
■立ち上がりには硬さが見られたが、4ゲーム連取でリズムをつかんだ。相手のボヤノビッチは世界ランク958位で、綿貫同様、初出場とあって「自分のやりたいようなプレーはできなかった」という。アンフォーストエラーが多く、スコアも離れたが、綿貫のショットが相手に良さを出させなかったと見るべきだ。ストロークは深く、トップスピンの効いた重いボールが相手を押し込んだ。エースは2本だけだったが、ファーストサーブ時のポイント獲得率は91%と高く、一度もブレークを許さなかった。
■「相手も気を抜かずにがっつり来たので、そこで勝ち切れたのはよかった」と綿貫は胸をなで下ろした。「ポイントがかかっているのと同じ(重圧のある)状況で、どれだけのプレーができるか見たかった」という岩渕監督も「素晴らしい試合。大舞台で強いという印象」と手放しで褒めた。4-0の勝利に加え、思惑通り、20歳をチームの戦力に加えられた。「我々にとって理想的な形で終えることができた」。岩渕監督の言葉が弾んだ。
■日本の岩渕聡監督「相手にエースのジュムールがいないのが大きかった。バシッチも淡白なプレーだったが、こういう時こそすきをみ見せずに、しっかり勝つことが大事になる。1セットも落とさずにできたことにチームの成長を感じる。選手は大事な試合が続くので、サポートを続けて来年2月のファイナル予選につなげたい。
■ボスニア・ヘルツェゴビナのブルキッチ兼任監督「残念ながら0-4で負けてしまったが、観客は温かく迎えてくれて、楽しくプレーできた。また、全員がプレーできたことに意味がある。昨日のダブルスに出場したファティッチ、今日のボヤノビッチは若い選手なので、経験を積んでいるところだ。(今回は欠場した)ジュムールがチームに戻れば、またこのステージで戦える可能性はある」
(広報委員会)
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