[ダブルス]
○錦織圭/杉田祐一 6-3,6-0,6-3 ●アルテム・スミルノフ/セルジー・スタホフスキー
■初めてペアを組む錦織と杉田。両者、ダブルスの実績には乏しいが、ともにリターン力という強みがある。日本が2-0と王手をかけてのダブルスで、二人はその武器を存分に生かした。第1セット2-3から一気に11ゲーム連取。プロの試合ではめったに見られない試合展開になったのは、錦織と杉田が相手のサーブをシャットアウトしたからだ。12回あったリターンゲームで9度、ブレークに成功。第2セットは相手のサービスゲームで計5ポイントしか失わなかった。相手のファーストサーブでの日本ペアのポイント取得率は47%、同じくセカンドサーブでは77%と、常識はずれとも言える数字をマークした。
■錦織は「お互い、リターンが冴えていた。リターンでチャンスを見出して、サービスゲームにもいいリズムをつなげることができた。すごくいい気持ちでプレーできた」と会心の試合を振り返った。植田実監督も「即席ペアだが、二人が持ち味のリターン力を十分発揮できた」と満足そうだった。
■杉田はコート上でのインタビューで「尋常でなく緊張した」と苦笑した。緊張の原因を記者会見で聞かれると「錦織さんのプレッシャーです」。錦織はダブルスを回避して最終日のシングルスに回る可能性もあると思われたが、エントリー通り、ダブルスに出てきた。「絶対取りにいくというのでダブルスをチョイスしてくれたのは間違いない。その気持ちに応えたかった」と杉田。プレーする機会の少ないダブルス、錦織と組むのも初めてとあって、序盤は硬さがあったが、すぐに本来のプレーを取り戻し、鮮やかなパスを何本も決めた。杉田は「まずは錦織選手に感謝したい。この大舞台で自分の限界を超えようと思っていたが、錦織選手に引き出してもらえた」と会見で語った。
■植田監督にとっては、初日のシングルスでのダニエル太郎と西岡良仁の起用と同様、このペアで臨むダブルスも一つの賭けであったと思われる。全米16強のイリヤ・マルチェンコとくせ者スタホフスキーを擁し、難敵と思われたウクライナだったが、日本の思い切ったチーム戦略がすべて当たり、3連勝で一蹴した。
(広報委員会)