■デビスカップ・ワールドグループ(WG)・プレーオフ、日本対ウクライナの最終日は、3セットマッチに短縮してシングルス2試合を行い、すでに3勝してWG残留を決めている日本が連勝、5戦全勝で対戦を終えた。ダニエル太郎(世界ランキング88位)はアルテム・スミルノフ(同321位)に逆転勝ち。西岡良仁(同96位)はダニロ・カレニチェンコ(同657位)をストレートで下した。
[第3シングルス]
○ダニエル太郎 3-6,7-5,6-1 ●アルテム・スミルノフ
■「最初、気持ちのコントロールができなかったが、みんなのためにファイトしなくてはいけないと思った。第2セットは、ここを頑張れば相手も崩れるという希望もあった。ファンのおかげで頑張れた」
[第4シングルス]
○西岡良仁 6-2,6-2 ●ダニロ・カレニチェンコ
■(中盤から相手にラリーを支配された)初日のこともあるので、自分からアグレッシブにプレーするよう心がけた。得るものが大きいデ杯だった。これを機にジャンプアップしたい」
■ワールドグループ残留を決めた日本チームが対戦を振り返った。「初日の二人がタフな環境の中、頑張った。(全員が)一人1点(以上)取ったことがチームにとって大きい」と錦織圭。最年長の杉田祐一は「5-0で勝ててうれしく思う。最終日もシングルスの二人は大変な(コンディションの)中、素晴らしいプレーをしてくれた。個々のレベルを上げ、またみんなで集合できればいい」と仲間をねぎらった。
■ダニエル太郎は「びっくりするくらい、うれしい勝利。チームの皆さんにありがたいという気持ちがある。日本チームに参加し続けられたらいい」と笑顔で話した。西岡良仁は「残留が決定してうれしく思う。シングルスで勝って初めて貢献できたことも大きな経験値になった。今後も代表に選ばれるように努力したい」とチーム最年少らしい謙虚さも見せながら、力強く語った。
■以前はプレーでチームを引っ張るタイプだった錦織だが、近年、チームメイトを励まし、アドバイスする場面も増えている。また、「若手がトップ100に入ってきて、当然ながら刺激を受けている」と錦織が話すように、互いに刺激し合う好循環が生まれている。ただ、チームの目標はもっと高いところにある。植田実監督はまずは個々のランキングを上げることだと言う。
■「WGでベスト8、ベスト4に行くには正直、まだ戦力がそろっていない。圭がトップ5にいるが、少なくとも30位以内に一人、50位以内に一人を目指して一人一人が上げていけばチャンスが来る。情報提供など我々もチームとしてサポートしていきたい」
■監督の言葉を受け、チームリーダーの錦織が、頭に描くチームの将来像を語った。「欲を言えば、ワールドグループ・ベスト4のチームを見ても、この4人ではまだ足りないところもある。ただ、このまま日本が強くなっていくのは絶対だと思う。今回の二人は20歳前後だし、(ヒッティングパートナーで帯同した綿貫(陽介)君も強くなっている。この数年、残留と1回戦を上下しているが、時が来れば上に行けるチームになる。しばらくは耐えて、WGにいることが最低限の条件になる」
■四大大会やマスターズ1000でも優勝争いに加わる錦織を中心に、現在は100位台の添田豪、伊藤竜馬を含め、トップ100を経験したプレーヤーが計6人いる。戦力はデ杯で優勝をねらえるチームに限りなく近づいている。あと一歩、あと一押しで重い扉が開くだろう。
(広報委員会)