[シングルス第5試合]
〇内山靖崇 6-4,6-4 ●ピエールユーグ・エルベール
■内山がシングルス出場を言われたのは、最初の試合が始まる1時間半前だった。「ダニエルがウォームアップの後、微熱があるということで、監督からいけるかと言われた。オフの予定だったのに急に出番が回ってきた」。このいきなりの起用が幸いした。「変な緊張もなく、ほどよくリラックスして臨めた」。1歳年上のエルベールとはジュニア時代から対戦があり、どんなプレーをしてくるかは分かっていた。「ストロークで打ち合えば勝機はあると思っていた」。
■200キロを超えるサーブを打ってネットに出てくるエルベールに対して、大事な場面でリターンをうまく沈め、難しいボレーを打たせてチャンスボールを引き出した。ラリーでは相手を振り回し、エルベールが打ち込んできた強打にもうまく反応してカウンターショットを見舞った。サービスはコーナーに決まって、サーブ1本で取ったフリーポイントは20本以上を数えた。最後も208キロのサーブで奪ったサービスウイナーだった。「サービスが良かった分ストロークでも落ち着いてプレーできた」。エルベールに1度もブレークポイントを与えない試合時間1時間の完勝だった。
■シングルスが世界230位なのに対して、ダブルスは世界228位の内山。日本勢ではダブルス上位に位置するため代表ではダブルス出場の機会が多く、デ杯のシングルスはこれが3試合目だった。エルベールはダブルス世界2位ということでダブルス専門と思われがちだが、先月半ばにはシングルス世界73位にいたプレーヤー。簡単な相手ではない。「内山はシングルス、ダブルスの二刀流でできる力がある。今回のこのチャンスは大きかった」。フランスに一矢報いる白星を勝ち取った内山に植田監督は賛辞を惜しまなかった。
(広報委員会)