[ダブルス]
○マクラクラン勉/綿貫陽介 4-6,7-5,7-6(2) ●ヤン・ジェリニスキ/ウカシュ・クボット
■第1セットはポーランドペアが強さを発揮した。この1月に全豪の男子ダブルスで準優勝したジェリニスキが大胆な動きと伸びのあるサーブでポイントを稼ぎ、立ち上がりに硬さがあった日本ペアはセットを失った。最大の分岐点は第2セット第9ゲームだった。マクラクランがダブルフォールトを3つ続けて、0-40となる。ポーランドのフィルステンベルク監督が「ミニマッチポイント」と表現したほどの大ピンチだ。
■「ちょっとリズムが悪いから、時間をとろうかなと思った」と綿貫がマクラクランに歩み寄る。わずか数10秒のインターバルで、マクラクランが集中力を取り戻した。「ファーストサーブのスピードを落とし、スピンをかける」と修正。これで相手がリターンのタイミングを狂わせ、ピンチを切り抜けた。1ゲームで主導権が移動するほどテニスは単純な競技ではないが、この数ポイントがきっかけになったのは間違いない。6-5からのクボットのサービスゲームで初めてブレークに成功、1セットオールに追いつき、日本ペアは息を吹き返した。
■第3セットは先にサービスゲームを落とし、重苦しい雰囲気で進んだが、3-4からのクボットのサービスゲームでブレークバック。綿貫、マクラクランともリターンで頑張り、ネットに詰めたポーランドペアに攻撃的な突き球で対抗した。タイブレークでも勢いは止まらない。最後はマクラクランがボレーを決め、2時間30分の熱戦にピリオドを打った。
■綿貫はダブルス世界ランキング1269位だが、ポーランドのM.フィルステンベルク監督が「コートにいた4人で、彼が一番良かったのではないか。リターンがとてもよかった」と絶賛する出来だった。マクラクランはデ杯で過去1勝7敗と苦戦していたが、ダブルスで軸となる選手であるのは間違いない。添田監督は、ひと皮むければ、と期待を込めて送り出し、マクラクランは期待に応えた。「特にダブルスで終われたのは、チームにとってもすごく大きな意味を持つ。期待していた勉が最後を締められたのは、彼の今後の成長になる。僕にとっても一番うれしい瞬間だったので、今日の1勝は一生忘れられない試合になった」。新監督がデビュー戦勝利の味を噛みしめた。
(日本テニス協会広報部)
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