■2025 ビリー・ジーン・ キング・カップ(BJK杯) by Gainbridge ファイナル予選グループAが東京・有明コロシアムで始まった。第1日の11日はカナダとルーマニアが対戦して、カナダ3-0で勝って1勝目を挙げた。カナダはシングルス第1試合でビクトリア・エムボコ(シングルス世界159位)、第2試合ではマリーナ・スタキュジッチ(同128位)がともにストレート勝ちすると、ダブルスも制してルーマニアを圧倒した。第2日の12日は、日本対ルーマニア(13時開始)が行われる。最終日の13日には日本対カナダの対戦が予定されている。
■ファイナル予選は世界6か所で3チームの総当たり戦が行われていて、各グループ1位の6チームがファイナルに進出する。各対戦はシングルス2試合とダブルス1試合の3試合で争われる。3チームが1勝1敗で並んだ場合は、試合の勝率などで順位を決定する。9月に中国で開催されるファイナルには、今回の予選を突破した6チームと昨年優勝のイタリア、開催国の中国を加えた8チームが出場する。
[シングルス第1試合]
○ビクトリア・エムボコ(カナダ、159位) 6-1,6-4 ●ミリアム・ブルガル(ルーマニア、211位)
■今季、ITFワールドツアーで5大会に優勝している18歳のエムボコが、鮮やかな勝利でBJK杯デビューを飾った。1ゲームしか落とさずに第1セットを奪うと、第2セットは1-3の劣勢からすぐに立て直し、6-4で制してストレート勝ち。「強みは攻撃的なプレー。ビッグショットで相手を走り回らせる、コートから追い出すプレーを心がけた」と終始、主体的にプレーして、ラリーの主導権を握った。
■同じくBJK杯初出場で「緊張して感情が入り乱れていた」というルーマニアのブルガルも、第2セット序盤には本来のプレーを取り戻した。しかし、エムボコにパワーでねじ伏せられ「彼女は乗りに乗っている選手。第2セットはできるだけのことをしたが、及ばなかった」と唇を噛んだ。
■エムボコは、まさしく赤丸急上昇の新鋭だ。今季開幕からITFツアーで20連勝、4大会連続優勝を飾った。3月のマイアミオープン(WTA1000)1回戦では当時54位のカミラ・オソリオ(コロンビア)に勝利、2回戦で10位のパウラ・バドサ(スペイン)に敗れたが、ファイナルセットのタイブレークにもつれる大接戦だった。
■12歳からカナダのテニス協会の支援を受ける。19年の全米オープンを制した同国のビアンカ・アンドレースクに刺激され、頭角をあらわした。22年にはウィンブルドンと全米のジュニア部門で続けて4強入りした。「子供の頃、彼女(アンドレースク)の全米での優勝を見て、ひらめきを与えられた。彼女は知らない人というわけではなく、同じ施設でトレーニングしたり、同じ大会に出たりして、歩んできた道が似ている。彼女にインスパイアされ、同じことは自分にも可能ではないかと思えた」と言う。
■そのアンドレースクの四大大会初制覇の頃から、カナダの女子テニスは勢いを増した。23年にはBJK杯を初めて制し、現在の国別ランキングでも2位につける。目に見えない伝統の力も、18歳の新鋭の背中を押しているはずだ。グループAの鍵を握る存在になるかもしれない。
【シングルス第2試合】
○マリーナ・スタキュジッチ(カナダ、同128位) 6-4、6-3 ●アンカ・トドニ(ルーマニア、同88位)
■マリーナ・スタキュジッチ「今日は動きが良かったと思う。調子が良かったのでプレーには満足している。最初からタフな試合で難しい局面もあったが、何とかチームに1勝を加えることができた。第1試合でビッキー(ビクトリア・エムボコ)が勝ってくれて、彼女のプレーに勇気をもらった」
■アンカ・トドニ「マリーナとの対戦はないが、練習をしたことがありよく知っている。自分が優位に立って試合を進めたかったが、彼女が各ポイント、各ゲームで集中してプレーしていた。私にとっては厳しい試合だった」
【ダブルス】
○ケーラ・クロス/レベッカ・マリーノ(カナダ) 6-2、6-4 ●ジョルジア・クラチュン/マラ・ガエ(ルーマニア)
■カナダのハイディ・エルタバク監督「第1試合のビクトリア(エムボコ)は初めてのBJKにもかかわらず、良いプレーで1勝を挙げてくれた。マリーナ(スタキュジッチ)もハイレベルな試合を制してくれた。ダブルスも安定したプレーでこういう結果をもたらしてくれて、すべてに満足している。(選手起用は)それぞれの対戦でそれぞれの特徴に応じた決断がある。日本戦については明日の様子を見て、また新たな検討をしたい」
■ルーマニアのホリア・テカウ監督「(シングルス106位でチーム最高位のレベッカ・マリノをシングルスに起用しなかった)カナダの選手起用は予想外だった。チームにとってタフな1日になった。第1試合のミリアムはBJK初出場で緊張していた。段々調子がでてきて第2セットは接戦となり、第3セットに持ち込めばどうなるか分からないと思わせるゲームだった。第2試合は2人ともレベルが高いプレーだったが、相手が非常に良かったのが試合を決めた要因だ。ダブルスは2人ともBJKは初めてで、良い経験になったと思う」
(日本テニス協会広報部)
本記事は、日本テニス協会メールマガジン「Tennis Fan」の抜粋です。「Tennis Fan」の購読ご登録はこちらから!
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