【全豪オープン】
(1月17日~30日・メルボルン、オーストラリア)
[男子シングルス3回戦]
○ヤニク・シナー(イタリア) 6-4,1-6,6-3,6-1 ●ダニエル太郎
■2回戦で元世界1位のアンディ・マリー(英国)を倒したダニエルだが、伸び盛りの世界10位はさすがに手ごわかった。1セットずつ取り合って迎えた第3セット。ダニエルが調子を上げると、第2セットを落としたシナーも気合いを入れ直し、ゲームは緊迫の度を増した。互いにサービスゲームをキープして迎えた第8ゲームが、大きな分岐点になった。
■0-40のピンチとなったダニエルは、フォアハンドのウィナーを手始めに、強烈なサービスエースを2本立て続けに決め、デュースに追いついた。攻めることで窮地を耐えていたが、このゲーム5度目のブレークポイントで、ついに土俵を押し出された。これで3-5。このセットを落とし、第4セットで相手がさらにレベルを上げると、ダニエルは流れを変えることができなかった。
■「マリーに効いたことがシナーには効かない。崩せるイメージがはっきり見えてこなかった」とダニエル。相手のタイミングを外そうと打ったショットが効かず、ボールが少しでも浅くなれば、たたかれた。試合中盤、「押し続ければ崩せる可能性もある」と感じる場面もあったが、シナーがうまく修正してきたという。
■「取れていたら、もっと面白くなっていた」と振り返ったのは、ターニングポイントになった第3セット第8ゲームだ。最大限のリスクを負って攻め、結果的にミスが増えたが、「あれはあれでよかった」と後悔はない。とことん粘る選択肢もあったはずだが、少しも迷わなかったのは、それが今、目指すプレーだからだ。
■その局面で攻めるか否か、最終的にはフィーリングで決めるという。身につけた技術と戦術を駆使してラリーを組み立てる一方で、攻めるときは「感じること」に任せて一気に行く。その戦い方で予選から5試合を勝ち抜いた。そうして、ダニエルは守備主体のプレーから攻撃的なプレーヤーに脱皮しようとしている。だから、シナーにもそれをぶつけたのだ。「トップ10プレーヤーとこうして戦えたし、素晴らしい数週間だった。この調子で今後の大会に臨みたい」。これからツアーで戦うための十分なエネルギーを得て、ダニエルの全豪が終わった。
(日本テニス協会広報部)
本記事は、日本テニス協会メールマガジン「Tennis Fan」の抜粋です。「Tennis Fan」の購読ご登録はこちらから!
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