[シングルス決勝]
○綿貫陽介 6-7(3),7-5,6-4 ●フレデリコ・フェレイラシルバ
■どのセットも終盤まで激しく競り合う熱戦に、「耐える時間が長かった」と綿貫。優勝スピーチでは「負ける寸前まで追い込まれた」と振り返った。まさに我慢の2時間53分だった。相手は深いグラウンドストロークでプレッシャーをかけてきた。序盤の綿貫は相手の重いボールやスピードボールにミスを強いられる場面が目立った。勝ちを意識して緊張し、また、84位のクリストファー・オコネル(豪州)に競り勝った準決勝の精神的な疲れも残っていたという。
■なによりフェレイラシルバの出来が素晴らしかった。「なんだこれ? と。気持ちが抜けかけるか、あきらめたくなるくらい」。相手のあまりの好調さにギブアップしそうになったが、何とか持ちこたえ、集中力を途切れさせなかった。「自分を鼓舞しながらできた」と綿貫。最終セットは5-4からの相手サービスゲームで、3度目のマッチポイントをものにした。「運もあった。最後は紙一重だった」は偽らざる心境だろう。
■チャレンジャーのタイトル獲得は3年ぶり。綿貫がその間の苦闘を振り返る。「去年1年間、すごく苦しい思いをした。コロナ(禍)のあとでアジアで試合がなかった。ヨーロッパやアメリカに行っても物怖じしなくなったが、精神的にはギリギリで、勝てないのもあるし、ランキングは上がらないし」。それでもこの11月、約3年半ぶりにランキング100位台に浮上した。「気持ちを前向きにしたのが結果につながった」と綿貫。優勝スピーチでは「来年はグランドスラム本戦で戦う選手になりたい」と宣言、目標に向けて「重みのある、うれしい1勝」になった。
※写真提供:兵庫ノアチャレンジャー
(日本テニス協会広報部)
本記事は、日本テニス協会メールマガジン「Tennis Fan」の抜粋です。「Tennis Fan」の購読ご登録はこちらから!
http://www.jta-tennis.or.jp/tennisfan/tabid/105/Default.aspx