■車いすテニスで、男子シングルス第2シードの小田凱人が第1シードのアルフィー・ヒューエット(英国)に快勝、全豪初、四大大会では昨年のウィンブルドン以来の3度目の優勝を飾った。
[車いすテニス男子シングルス決勝]
○小田凱人 6-2,6-4 ●アルフィー・ヒューエット(英国)
■ヒューエットは10代前半の頃の小田にはあこがれの存在だった。そのバックハンドをお手本にして、四大大会で戦う日を夢見た。今はグランドスラムの決勝で毎回のように顔を合わせている。昨年の全豪では敗れたが、その後、全仏、ウィンブルドンと連勝。四大大会決勝で4度目となった対戦も小田の快勝だった。第1セットは1-2から5ゲーム連取で奪った。第2セットも2度ブレークに成功、終盤に一つブレークを返されたが、危なげなく逃げ切った。
■鳥のように両手を広げ、歓喜を味わうと、みずから観客をあおり、スタンドからの大歓声に包まれた。この勝利には格別の思いがあった。あこがれの相手を破っての全豪初優勝、しかも、3個目の四大大会タイトルとランキング1位の座が一度に転がり込んできた。「アルフィー選手にああいう形で勝った。彼だからうれしかったし、2位だったのが1位になるうれしさもあった」と小田。よろこんだ理由はそれだけではない。
■「彼のテニスが全く新しい。(ショットの)出力とかアグレッシブさは車いすテニスの域を出ている」。今大会、ダブルスのペアを組んで準優勝した三木拓也の小田評だ。その攻撃的なテニスはさらに進化している。今大会で目立ったのは、ネットプレーでフィニッシュする形。攻撃的なテニスの一つの理想型だ。この決勝でも22回ネットに出て14得点した。
■試合後の記者会見の第一声は、「いやあ、やっぱ、つえーっていう感じっすね」。普段は言葉を選んで生真面目に受け答えする17歳が、珍しくおどけてみせた。「やってきた練習を全部出し切って勝てた。僕のしたいプレーをして勝てた。ボレーでポイントを取ったり、目指したテニスも徐々に形になってきた」。小田は会心の勝利を噛みしめていた。
(日本テニス協会広報部)
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