[車いすテニス男子シングルス決勝]
○小田凱人 7-5,6-3 ●グスタボ・フェルナンデス(アルゼンチン)
■ドローの反対側から勝ち上がったのが、四大大会の決勝で過去3戦3勝のヒューエットでなく3位のフェルナンデスで、「驚いた」と明かした小田。イメージしていたライバルとの決勝ではなかったが、隙を見せずに2セットを戦い抜いた。
■第1セットは持ち味である超攻撃的なプレーで5-2としたが、セットポイントを逃し、5-5に追いつかれた。動揺してもおかしくない展開だが、落ち着いて2ゲームを連取し、セットを奪う。望んでいた熱い試合、小田の言葉を借りれば「バチバチするような戦い」になった、そんな実感がプレーの質を一段引き上げた。
■第2セットも奪った小田が、大会2連覇を成し遂げた。記者会見では最初に英語で喜びを口にした。「去年はここで2年も優勝できるとは思ってもいなかった。素晴らしい」。今年の全豪に続いて失セット0の優勝に「日に日にテニスが上がっていく感覚だった。大会中でも自分のテニスを上げていくことは今後も意識したい」と満足そうな表情だった。
■四大大会初優勝が昨年の全仏だった。「特別な場所に戻り、再び特別な瞬間を味わうことができた」と小田。パリには縁があり、「凱人」の「凱」は凱旋門に由来する。戦い終え、ベンチに戻った小田がバッグから取り出して、ヘッドバンドのように額に巻いたバンデージには手書きのフランス語で「パリが大好きです」と書かれていた。
■全仏と同じ会場ローランギャロスで、8月末にパラリンピックのテニス競技が幕を開ける。ロンドンパラリンピック(2012年)で戦う国枝慎吾の映像を見たことが、小田が車いすテニスを始めるきっかけだった。「特別な場所」でパラリンピックに初出場、金メダルを高く掲げる、18歳が次に頭に描くシナリオだ。
(日本テニス協会広報部)
本記事は、日本テニス協会メールマガジン「Tennis Fan」の抜粋です。「Tennis Fan」の購読ご登録はこちらから!
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