■車いすテニスは男子シングルス決勝を行い、第1シードの小田凱人が2年ぶり2度目の優勝を飾った。第2シードのアルフィー・ヒューエット(英国)に第1セットを奪われたが、逆転勝ちした。次の四大大会、9月の全米オープンに生涯ゴールデンスラム達成(四大大会とパラリンピック全制覇)が懸かる。14歳以下女子シングルスでは、宮澤紗希乃がウクライナ選手を逆転で破って優勝した。
[車いすテニス男子シングルス決勝]
○小田凱人 3-6,7-5,6-2 ●アルフィー・ヒューエット(英国)
■第1セットはサービスゲームを一度しか守れなかった。ファーストサーブでもセカンドサーブでも、相手の狙いすましたようなリターンに押され、ポイントを重ねられなかった。「セカンドサーブの時にウィナーをたくさん取られているイメージだった」と小田。ならば、ファーストサーブを確実に入れるのが一般的な打開策だが、小田は違った。
■「入れにいったファーストサーブは多分、たたき込まれていたと思う。セカンドサーブも強く打つ。2回打てるっていう考え方でプレーした」。強気で、押され気味の展開を変えた。第1セットは40%と低調だったファーストサーブ時のポイント獲得率を、最終セットは88%まで引き上げ、このセットは一度もブレークを許さなかった。
■「彼が最初から良すぎたが、どこかで失速するだろうと思い、よしとしていた」と割り切り、最初のセットを失っても焦らなかった。試合の流れを冷静に読み、常に自信を持ってプレーした小田の鮮やかな逆転劇だった。
■英語の質疑で小田は「僕の人生で最もいい試合だった。お互いを刺激し合い、歴史をつくったと思う」と話した。昨年のパラリンピック・パリ大会ではこの相手に決勝で勝って金メダルを獲得。車いすテニス史に残る名勝負と言われたが、これに満足するつもりはなかった。ヒューエットを互いに高め合う存在と認め、「毎試合、(ベストマッチを)更新していきたい。もっとヤバイ試合、『うおっ』て思うような試合がしたい」と念じてコートに立っている。その思いをかなえる試合ができたという自負があったのだ。
■9月の全米で初タイトルをつかめば、生涯ゴールデンスラム達成だ。見通しを聞かれると「できそうだな、みたいな感じですね」と不敵に笑った。「自分のテニスができている。今日は相手も(出来が)よくて、それを自分が上回れた」。溢れるほどの自信を胸に、晩夏のニューヨークに乗り込む。
(日本テニス協会広報部)
本記事は、日本テニス協会メールマガジン「Tennis Fan」の抜粋です。「Tennis Fan」の購読ご登録はこちらから!
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