【東レ パン パシフィック オープンテニス】
(9月19日~25日・有明コロシアムほか、東京)
[シングルス決勝]
○キャロライン・ウォズニアッキ(デンマーク) 7-5,6-3 ●大坂なおみ
■ツアー優勝23回のウォズニアッキの経験が、大坂のパワーと勢いを制した。序盤は大坂が持ち味を出した。3-3からのウォズニアッキのサービスゲームで2度目のブレークに成功、流れを引き寄せるかと思われた。しかし、左足の付け根を痛めたウォズニアッキがトレーナーを要請、結果的にこのメディカルタイムアウト(MTO)が分岐点となった。
■相手の治療を待つ間に「いろいろ考えてしまった」と大坂。もしかしたらセットが取れる、そんな思いも浮かんできたという。期待はすなわち雑念であり、容易に重圧に変わる。試合後、大坂が打ち明けた。「相手の状態がよくないなら、このセットは私が取らなくてはいけないとプレッシャーが増してしまった」。
■直後のゲームでブレークを許した大坂。5-5からの相手のサービスゲームでは2度のブレークポイントを逃す。直後の自分のサービスゲームではプレーが淡泊になってブレークを喫し、第1セットを5-7で落とした。セット間に右肩の治療を受けた大坂には落胆の色も見られ、第2セットは0-5と大差をつけられた。粘って3ゲーム連取したが、試合をひっくり返すことはできなかった。
■大坂が「彼女の守りが堅くかった。特に大事な場面で私がミスをしてしまったことでこの結果になった」と話したように、堅実さには確かに差があった。また、百戦錬磨の相手の巧妙さに勢いを止められたことが大きかった。陽動作戦とは言わないが、実際、ツアーではMTOで流れが変わることは珍しくない。だから、どの選手もそうならないための努力をしているはずだ。厳しい見方をするなら、その心構えが18歳には欠けていた。
■「すべてのポイントに集中すること、ポイントを失っても感情を出さないことが大事だと学んだ」と大坂。経験の差を実感させられたのか、「大会で上のラウンドに勝ち進むことに慣れれば、状況にアジャストしていくことができると感じている」とも話した。
■月曜に更新されるランキングでトップ50入りが有望だ。今季の目標達成となる。記者会見で次の目標を尋ねられた大坂の答えが良かった。「50位以内にとどまること。今日できなかったことを反省し、修正することも今後の目標に加えたい」。学習能力の高さも大坂の長所の一つ。この経験を必ず糧とするだろう。
※写真は全米オープン時のもの
(広報委員会)