【全米オープン】
(8月31日~9月13日・ニューヨーク、米国)
[女子シングルス決勝]
○大坂なおみ 1-6,6-3,6-3 ●ビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)
■第2セット以降は別の試合を見ているようだった。第1セットは「緊張して足が動かなかった」と大坂。アンフォーストエラー13本と不本意なプレーでセットを失ったが、「できるだけポジティブでいよう」とあきらめなかった。アンフォーストエラーは第2セットが5本、第3セットが8本と半減、逆にウィナーが増え、強打のアザレンカとのラリーで優位に立った。
■第2セットからの立て直しについて大坂は「簡単に消え去ることもできた。それでも、本当にファイトしたかったし、競りたかった。それしか頭になかった。勝つこと、競ることしか考えていなかった。そうしたらトロフィーを手にしていた」と語った。
■記者会見で成長について聞かれると「私は成長しようと努めてきた。人生で学んだことが人として成長させてくれたと感じる」。この5月にはツイッターに「内気な自分でいるのはおしまい」と書き、人種差別への抗議活動に支持を表明した。今大会では「問題をみんなに知ってもらいたい」と、人種差別が関係した事件の被害者の名前を入れたマスクを着けて入場した。異なる名前が記されたマスクを7枚用意、決勝まで勝ち上がり、それらをすべて披露した。ウィム・フィセッテコーチはこうした行動について「間違いなく彼女の助けになっているし、エネルギーを与えている」と話す。
■メンタル面では「相手をリスペクトし、倒すことに全力を尽くす」と心の準備をすることで、以前のようなひとり相撲がなくなった。新しく招いた中村豊フィットネスコーチとのトレーニングでフィジカル面も向上した。走らされても体勢がぶれず、ショットの精度が上がった。技術的には、高い打点からクロスに叩くショットを身につけ、ウィニングショットが増えた。
■優勝を決めた大坂は、ラケットを置いてコートに足を踏み入れ、仰向けになった。その心境をあとで明かした。「偉大な選手たちが地面に倒れて空を見上げているのを何度も見てきた。彼らが何を見ているのか見てみたいといつも思っていた。本当に信じられない瞬間だった」。アーサー・アッシュ・スタジアムの真ん中で、大坂は大きな仕事をやり終えた安堵感、達成感に包まれていた。
※写真は2019年全米オープン時のもの
(広報委員会)
本記事は、日本テニス協会メールマガジン「Tennis Fan」の抜粋です。「Tennis Fan」の購読ご登録はこちらから!
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