【全仏オープン】錦織はツォンガに敗退。82年ぶりの日本男子4強ならず
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[男子シングルス準々決勝]
○ジョーウィルフリード・ツォンガ(フランス) 6-1,6-4,4-6,3-6,6-3 ●錦織圭
■立ち上がりの失敗が最後まで響いた。ツォンガは弾道の高いボールを交ぜてラリーのペースを落としてきた。強風が不規則に舞うセンターコートで、錦織は相手の緩いボールの処理に手こずった。「風のある中、『早く決めないと』と思ってしまったのがミスになった。完全に自分を見失っていた」と錦織は悔やんだ。攻めようと焦れば焦るほどミスが増える。打開策もないまま第1セットを落とし、第2セットも2-5のピンチとなった。
■ここで思わぬアクシデント。鳩の侵入を防ぐためにスタジアムの大スクリーンに取り付けられた長さ3メートルの金属板が、強風にあおられて観客席に落下、けが人も出てゲームは約40分間中断した。これを境に流れが変わる。「(中断で)コーチと話せたのがよかった。戦術を変え、うまくいき始めた」と錦織。第2セットはそのまま落としたが、続く第3、第4セットを連取。ところが第5セットは強烈なサーブを軸に攻めてきたツォンガに押される展開。1-2からのサービスゲームを落とすと、もう巻き返せなかった。
■「自分のテニスが出だしからできなかったのが敗因」と錦織。最終セットは流れを取り戻したかに見えたが、「彼のサーブが取り切れなかった」。これまで4勝1敗と対戦成績でリードしていたツォンガに、得意にしてきた最終セットにもつれる展開で敗れるという、不本意な結果となった。
■それでも、全仏までのクレーシーズンを「いいテニスもできていたし、去年以上に結果も出せたので落胆はしていない」と前向きに振り返った。「少し休んでグラス(芝)に向けていい準備をしたい」と気持ちを切り替えた。
(秋山 英宏)
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