【全仏オープン】
(5月27日~6月10日・パリ、フランス)
[女子ダブルス決勝]
○バルボラ・クレイチコバ(チェコ)/カテリナ・シニアコバ(同) 6-3,6-3 ●穂積絵莉/二宮真琴
■立ち上がりはサービスブレークの応酬だったが、その後、徐々に相手のムードになっていった。圧倒されているのでもなければ、手も足も出ないというのでもない。主導権以前の、リズム、雰囲気といった目に見えないところでチェコペアがゲームを掌握していった。そのイヤな感じの理由が二宮のコメントで明らかになった。「いつもより遅いペースで試合をされて、ロブも打ちづらく、相手の(ストロークの)スピン量も多かった。相手に崩されたところがあった」。
■穂積も「思ったよりストロークとかプレーのリズムが遅く、1回戦から準決勝までの相手と違うリズムだった。私たちは速いリズムでやりたいと思っていたが、相手に遅くされてしまってやりにくかった」と同意見だ。特にクレイチコバの回転量の多いトップスピンがやっかいで、ラリーのテンポが上がらない。穂積、二宮の特徴は速い攻防の中でのポーチであり、巧妙なロブや突き球だが、自分たちのリズムでラリーができないことで精度が下がり、相手に仕掛けられる場面も増えた。
■過去5試合では、大事なポイントをしっかり取って失セット1で決勝に勝ち上がったが、その勝負強さを発揮できなかった。5試合で計32回あった相手のブレークポイントのうち26回をセーブする粘り腰を見せていたが、この試合では4度のブレークポイントですべて相手に得点された。逆に日本ペアは4度のブレークポイントを一度しかブレークに結びつけられず、相手を崩すに至らなかった。
■それでも、二人に落胆の色はない。「やられたなという感じが強かった。相手から学ぶことが多いなと思ったので、これはまた次に生かせると感じた」と二宮は収穫を強調する。穂積も「ここまで来られたことがうれしい。いい経験になったので、次につながると思う。悔しいが、下を向く感じではない」と言う。
■日本テニスの新たな歴史を作ることはできなかったが、二人のキャリアでは重要な一コマになった。「今回のプレーと結果で、ダブルスを究めようという思いが強くなった」という二宮は、東京五輪でのメダルを目標にダブルスに専念する考えを明らかにした。穂積は「シングルスでもランキングの高い第1シードのペアと、しっかり打ち合えたのは自信になる」と、経験と手応えをシングルスにも生かすつもりだ。
(広報委員会)
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